骨粗鬆症になる一番の問題は、閉経期を迎えようとする女性にとって、閉経直後からの急激な骨密度低下への認識が乏しく、この問題に対処できていないことだといわれています。老化にともなって誰でも骨量は減少しますが、閉経によって女性ホルモン(エストロゲン)が出なくなり、大幅な骨量の減少をきたすことへの認識不足が問題視されています。骨折によって寝たきりになってしまうという事態を考えれば、もっと深刻に受け止め、骨密度の減少を招かない対応をすべきではないでしょうか。
骨粗鬆症の予防としては若い頃に骨量を最大限に高めておくことと閉経後、およそ10年間に生じる急激な骨量の減少をできるだけ抑えることが最も有効な対策といわれています。日常生活において実施できる骨粗鬆症の予防法には、先ずカルシウムやマグネシウム摂取を意識した食事とウオーキングなどの運動をすることですが、運動に関しては女性ホルモンの減少による骨の運動性が低下するということで、なかなか思うようにいかないようです。
「閉経後5年以内の女性に、運動の実施とともに弱い女性ホルモン様作用を示すとされている大豆イソフラボンを摂取してもらい、その骨代謝および脂質代謝に対する両者の併用効果を1年間にわたって実地した結果、運動と大豆イソフラボンを摂取しなかったグループにおいては大腿骨の骨密度が低下したが、ウオーキングと大豆イソフラボンを摂取したグループにおいて、大腿骨の付け根の部分の骨密度低下が抑制されるとともに大腿骨ワーズ三角部の骨密度の上昇が認められた」という調査の結果が国立健康・栄養研究所という機関によって報告されています。
大豆イソフラボンは、大豆胚芽に特に多く含まれるポリフェノールの一種であり、抗酸化作用を持っていることから、活性酸素の発生を抑制する働きがあります。今のところ、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインを代表とする10種類以上の大豆イソフラボンが確認されています。成分構造は、女性ホルモンであるエストロゲンとよく似ており、体内に摂取されるとエストロゲンと同じような働きをすることから、植物性エストロゲンと言われています。しかし、大豆食品を摂取していれば、自動的に作られる物質ではないようです。
その物質とは、スーパーイソフラボン(エクオール)といわれ、イソフラボンの構成成分ダイゼインが腸内で分解されてできる物質で、日本人のおよそ半分、欧米人の30%ほどがその産生菌を持っているということです。
大豆食品を多く摂取している日本人なら、もっと多くてもよいはずですが、腸内でスーパーイソフラボン(エクオール)に分解するには善玉菌が活性化できる腸内環境が必要になり、そのために胆汁分泌を促進させるクルクミノイド(熱帯ウコン)や乳酸菌(ヨーグルト)、オリゴ糖(きな粉、ごぼう、玉ねぎ)などを積極的に摂取すると良いようです。 |