薬科大学のアリゾナ州立大学で、内分泌学者Funk博士はターメリック(熱帯ウコン)の主成分である3つのクルクミノイドと精油成分を抽出して抗関節炎に効果的な成分として完成させ、動物モデルによる生体内での実験で、初めてそのメカニズムを明らかにしています。
関節リウマチにおいて
NF-κBという転写因子が活性化すると遺伝子に結合して関節部に有害な炎症性タンパク質の増殖を高めてしまう。クルクミノイドが関節部の活性化からNF-κBと呼ばれる転写因子を抑制することを突き止め、クルクミノイドの摂取が、NF-κBを目標とする抗関節炎医薬品と同じ効果のメカニズムを持っていることを示唆しています。また、ターメリックが喘息、多発性硬化症及び炎症性の腸疾患といったような他の炎症性の病気に対しても効果的であると提案しています
さらにFunk博士の研究は、共通の炎症を防止することに加えて、クルクミノイドが骨の再吸収に関与し、その進行を防止することを示唆しています。女性の骨粗鬆症と関連付けられる骨量の減少が閉経期を契機に始まることに注目して、彼女は、閉経周辺期の間に栄養補助食品として摂取されたターメリック(熱帯ウコン)が骨量の減少と骨粗鬆症を防止する可能性があることを提唱し、その実証に対する研究活動を行っています。
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NF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー、核内因子)は転写因子として働くタンパク質複合体である。 NF-κBはストレスやサイトカイン、紫外線等の刺激により活性化される。NF-κBは免疫反応において中心的役割を果たす転写因子の一つであり、急性および慢性炎症反応や細胞増殖、アポトーシスなどの数多くの生理現象に関与している。NF-κB活性制御の不良はクローン病や関節リウマチなどの炎症性疾患をはじめとし、癌や敗血症性ショックなどの原因となり、特に悪性腫瘍では多くの場合NF-κBの恒常的活性化が認められる。さらにNF-κBはサイトメガロウイルス
(CMV) やヒト免疫不全ウイルス (HIV) の増殖にも関与している。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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