一般に骨粗鬆症といえば、老化にともなって骨量が減少して、その名が示すように骨の密度が粗く、
スカスカになって骨折しやすくなってしまった状態のことをいいます。特に負担のかかりやすい太ももの付け根にある大腿骨頸部や背中にある脊椎の骨折が起こりやすくなります。
大腿骨頸部骨折はもちろんのこと、脊椎の圧迫骨折も脊髄の神経を圧迫するために歩行障害などを引き起こし、寝たきりの原因となっています。この症状を原発性骨粗鬆症あるいは退行期骨粗鬆症といい、骨粗鬆症全体のおよそ90%がこれに相当するということです。
退行期骨粗鬆症は50歳から70歳くらいまでの女性に発症する閉経後骨粗鬆症と、男女共に70歳くらいから発症する老人性骨粗鬆症とに分けられます。
現在、日本には1000万人の患者がいると推定されており、女性が全体の7割を占めるとされています。男女の比率は、およそ1対3〜4人で、圧倒的に女性のほうが多く、閉経を迎える50歳前後から増えてきて、60歳代の女性、3人に1人、70歳代の女性、2人に1人が骨粗鬆症にかかっているといわれています。
50歳代の女性の21%、60歳代の48%、70歳代の67%、80歳代の84%と加齢とともに確実に増えていっております。骨粗鬆症による骨折に関しては、有病率の70歳代が25%、80歳代が43%におよび、脳卒中などに続いて多い寝たきりの原因となっています。困ったことにこの病気の特徴として骨折するまで、ほとんど自覚症状がないことが問題を深刻化させています。
何故、閉経後に骨粗鬆症が急激に進行するかは、骨量を維持している女性ホルモンのエストロゲンの分泌が少なくなってしまうことが原因とされています。男女別の統計グラフにも閉経後の骨量が一気に低下してしまうことが顕著に表れ、閉経直後においては、およそ20%もの大幅な低下が起こっています。