年をとると私たちの身体機能は低下し、さまざまな支障が起こってきます。このような機能低下は、身体を構成する60兆個の細胞の働きが、加齢による抗酸化力の衰えから活性酸素の酸化損傷を処理しきれなくなることが原因とされています。
活性酸素とは、呼吸によって取り入れられた酸素からエネルギーを生み出していく過程で発生してしまう酸素分子が、体内の不飽和脂肪酸と結びついて過酸化脂質をつくり、細胞をサビつかせてしまう不安定な酸素分子のことです。
「活性酸素によって老化、発ガン、糖尿病、動脈硬化など様々な病気を促進させてしまうことが、老化と過酸化脂質の因果関係にある。」という当時(1956年)としては大変エキサイティングな学説が、抗老化研究におけるネブラスカ大学医学部のデンハム・ハーマン博士(Denham Harman)によって発表されています。
例えば、切ったリンゴをそのままにしておくと、すぐに切り口が茶色く変色していきます。これはリンゴが空気中の酸素によって酸化された結果です。また、鉄をそのまま放っておくと、次第に錆びていくのも酸化です。これらは酸素に触れることによって必ず起こる酸化という現象です。
人間の身体も酸素を吸って呼吸をすることにより酸化されてしまうはずですが、私たちの身体にはこれに対抗するスカベンジャー(抗酸化物質)という防衛機能が備わっています。すなわちスーパーオキシドディスムターゼやカタラーゼ、グルタチオン・S−トラスフェラーゼという酵素が有害な活性酸素や有毒物を消去してくれているので身体は安全に守られています。
この頼もしい抗酸化物質も生活習慣によって個人差がありますが、加齢によって減少して
いってしまいます。25歳頃をピークに40歳を過ぎた頃には半分ほどに減ってしまうそうです。
そして追い討ちをかけるのが、食生活の乱れ(脂肪系食品の取りすぎや過度のカロリー摂取)、運動不足、ストレスなどが抗酸化物質を損なう3大要因とされています。この他、汚染された大気・医薬品・農薬・水道水(トリハロメタン)・洗剤・食品添加物などの化学物質、電磁波(携帯電話・パソコン)、紫外線など誰でもが日常的に経験していることで、不足ぎみの抗酸化物質がどんどん消費されてしまい、不安定になった活性酸素の消去が間に合わなくなってしまいます。 |