肝臓では、腸管から取り込まれた栄養素を身体の各器官が必要とする栄養分に作り変え、血流に乗せて送り届けています。この時、肝機能の働きが弱くて十分なビタミンやミネラルといった栄養素(抗酸化物質など)を取り込めなかったり、身体の各器官が必要とする栄養分が、十分に生産及び供給できないと細胞の組成に必要な物質や抗酸化物質などの不足によって様々な不具合を発生させてしまいます。
肝臓では、小腸壁から栄養素を取り込めるように胆汁を分泌して消化を助け、胆汁とともに吸収をしています。取り込んだ栄養素を身体の各器官が必要とする栄養分に作り変え、血液に乗せて全身に運んでいます。この他、口や鼻、皮膚などから入ってくる細菌、有害物質、薬剤、アルコール(アセトアルデヒド)、洗剤などの有毒物を分解、解毒する働きや脂肪、糖分(グリコーゲン)を貯蔵して必要なときに全身に配り、生命を維持するエネルギー源としています。
このように生命を維持する為の大切な働きをしているのが肝臓の機能です。しかし、若い頃からの豊かな食生活によって蓄え続けられてきたエネルギーの素、中性脂肪や糖分が肝内に充満した状態(脂肪肝)や飲酒習慣による負荷、さまざまなストレスの後遺症などが加齢とともに知らず知らずのうちに肝機能への負担を増幅させています。
肝臓で処理しきれない脂質や糖質、有毒物などが血流に乗って全身に運ばれ、加齢とともに血管壁に付着して動脈硬化を深刻化させていきます。汚れた血液と血流の悪さが60兆個の各細胞へ不十分な栄養分しか供給できないばかりか脂質や糖質が細胞壁に付着した状態になってしまいます。一番心配になってくるのが、毛細血管が集中している血液のろ過器官である腎臓の機能です。
肝臓と同じように沈黙の臓器として知られている腎臓は、汚れた血液が毛細血管を詰まらせ、機能の低下を招いていても自覚することなく進行してしまいます。損傷の程度によりますが、ろ過できなかった汚れた血液が全身を巡ることになってしまいます。このようなことをイメージすると何故、高齢になると癌や心筋梗塞、脳卒中などの病に襲われるかが、よく理解できると思います。
また、見た目で確認できることは、紫外線に対する抗酸化力が弱くなってシミやクスミが増え、老人班として沈着してしまうことや血行不良や栄養不足から細胞の酸化が進み、新たなコラーゲンやエラスチンが十分に生成されなくなり、シワやたるみが目立つようになることです。
老化を止めることはできませんが、加速度的に進んでしまう身体の老化(酸化)を元気で若々しく年を重ねるように強く思い、対処することで、全く違った結果を得ることになるはずです。そのためには、加齢によって減少してしまう抗酸化物質を日々補うことで、活性酸素の酸化作用を抑制して、さまざまな病から身を守ると同時に老化(酸化)の進行をゆるやかなにしてやることが大切になります。
このことは日々のほんの少しの気配りと努力で実行できる行為ですし、実行するかしないかの違いは、歳を重ねるほど大きな差になって表れるはずです。 |