テキサス州ヒューストンのベイラー大学医学部、血管外科血管内治療のマイケル氏による豚の冠状動脈を用いた実験の結果、クルクミンがホモシステインによって引き起こされる血管内皮機能障害に対して予防効果をもつことがわかりました。
その内容は、豚の冠状動脈を3ミリ幅に輪切りにして4通りの方法で行った。
@コントロールとして何もしない
Aホモシステイン(50マイクロモル/ L)のみ
Bクルクミン(5マイクロモル/ L)のみ
Cクルクミン(5マイクロモル/ L)とホモシステイン(50マイクロモル/ L)を合わせた。
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1マイクロモル : 1リットル中の分子量(mol/l)の1/1000000である濃度。
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以上4つを24時間、血管に作用する薬剤に浸したところブラジキニンに対して応答した内皮依存性血管拡張は、ホモシステイン投与群では、コントロール群の73%に比べて40%であった。この結果、クルクミンが効果的に内皮依存性血管拡張のホモシステイン誘導障害を阻害する効果があることが認められた。
内皮一酸化窒素合成酵素については、ホモシステインのみのグループでの免疫反応は減少したが、クルクミン及びクルクミン+ホモシステイン両方のグループではコントロール群とほぼ同じでした。また、内皮層スーパーオキシドアニオンの濃度は、ホモシステインのみのグループでは有意に上昇したが、ホモシステインがスーパーオキシドアニオン濃度に及ぼすこの効果さえもクルクミンは阻害した。
「これらのことから、クルクミンが効果的に高ホモシステイン血漿に対して治療効果を発揮することが明らかになった。 また、大幅にホモシステインに誘導されるスーパーオキシドの生産とeNOS(内皮型一酸化窒素合成酵素)のダウンレギュレーション(状況に応じて受容体を減らす)を阻害することから、心疾患の疾病率および死亡率を抑えることができるだろう。」とこの研究チームは結論した。
また、「ホモシステインは、心血管疾患の独立した危険因子であることが認められ、今後、重要な臨床上の問題となる。もっと重要なのは、クルクミンは、天然物質、効果的に血管系のホモシステインの有害な影響をブロックすることができる。したがって、心血管疾患を防ぐために高ホモシステイン血漿患者に使用することができる。」と結んでいます。