スパイスが、実験でメラノーマの成長増大を阻害する。
クルクミンがどのようにメラノーマ(悪性黒色腫、皮膚がんの一種)の実験室株の増殖を止め、癌細胞が自殺をするよう強制するか示しています。こうした作用は,関節炎と癌を含むいろいろな病気を起こしている異常な炎症性反応を調節することが知られている強力なマスタースイッチであるNF-kB(エヌエフ・カッパー・ビー核内因子)の活性化を遮断することによる、と研究者は説明しています.
研究者達は、3つの異なるメラノーマ株をクルクミンで処理し、NF-kBの活性を評価しました。 また彼らは、NF-kBのスイッチを「オン」にするプロテインキナーゼ(他のタンパク質をオンにする酵素/触媒)のIKKも検討しました。 スパイスは両方のタンパク質を活性化させず、メラノーマの成長を止め、アポトーシス(細胞死)を誘発する働きをしました。
抗酸化作用、抗炎症作用、抗発癌作用などの,ターメリックに由来するクルクミンの特性については、当施設や世界中のいろいろな場所で熱心な研究がなされています」と、この研究の著者の一人である、Bharat
Aggarwal 博士(professor of cancer medicine in the Department of Experimental
Therapeutics)は述べています。(中略)
クルクミンの抗炎症作用に関する知識,および,ガンが炎症から生じるかもしれないという認識が次第に高まっていることがスパイスに対する更なる関心を高めていると、Aggarwal博士は述べています。 今後の期待を生み出したもう一つの事実は、米国における上位4位の大腸癌,乳癌,前立腺癌,肺癌の発病率は、インドにおいてはその10分の1だということだと、彼は言います。
M.D.アンダーソンと他の機関は、クルクミンが腫瘍細胞の増殖を阻害することと、既存の血管から新しい血管が形成されることによる血管新生を阻害することをすでに見いだしています。
最近の研究において、研究者はクルクミンがNF-kBを阻害するだけでなく、腫瘍の進展に関与しているSTAT3経路を阻害することを見つけました。両方の経路は、細胞の生存と増殖において中心的な働きをします。
〔出典:M.D.アンダーソン・キャンサー・センター
8月15日発行のジャーナルCancerで発表より〕